居心地よく生きるために10 ~その責任は適切か?!~

心理学のおはなし
するめいぬさんによる写真ACからの写真

こんにちは。ハルちゃんです。

世間では夏休みに入っている方も多くおられると思いますが、今年は例年とは大きく様変わりしましたね。
私はこの際考えを切り替えて、「このタイミングならではのことをやろう」と思い、最大限に楽しもうと思っています。ちなみに、この記事はベランダにキャンプ用の椅子を設置してコーヒーを飲みながら書いています♪天気も良く、素晴らしい空間です。ただし、午後は暑くなるので朝の内しかできませんね笑

さて、本日は久々にシリーズ再開です。アドラー心理学のお話です。アドラー心理学はご存知の方も数多くいらっしゃるかと思います。本日はその中から「課題の分離」をテーマとして進めてまいります。

アドラー心理学って、何ですの?

<a href="https://www.photo-ac.com/profile/1350756">みっちぃ</a>さんによる<a href="https://www.photo-ac.com/">写真AC</a>からの写真

ここ説明いらないんじゃないかってくらい、世間での認知度は高いと思いますが、ササーッと書きますね😄アドラー心理学は、オーストリアの精神科医、アルフレッド・アドラー(1870〜1937)が創設した学問体系で「個人心理学」とも呼ばれています。アドラーはフロイト、ユングと並び、❝心理学の三大巨頭❞と称されています。
ダイヤモンド社出版の著書「嫌われる勇気」(岸見一郎、古賀史健 著2013)がベストセラーとなったのは記憶に新しいところであるかと思います。アドラー心理学の特徴のひとつとして、その主眼を過去の「原因」ではなく、未来へ向けた「目的」においています。
アドラー心理学は、自己啓発はもちろんのこと、ビジネスシーン等においてもその考え方は有効に活用されています。

課題の分離について

さて、早速今回ご紹介します「課題の分離」について進めてまいります。
皆さんの中では仕事や家庭、その他諸々のコミュニティ活動を通して❝過度に相手の顔色を伺う❞、❝相手の機嫌の良し悪しを気にする❞といったシチュエーションを体験している方はおられるでしょうか。また、❝相手の要請を無下に断れない❞といったことはあるでしょうか。このような思考は特に、和を重んじる日本人ならではのパーソナリティとしてそう珍しくない傾向であるかと思います。他者に対する気配りができる人として好感が持てますし、真面目で誠実な印象を受けますね。よく言われる責任感が強い人等はこうした性格であることが多いのではないでしょうか。
しかし、これが増幅していくとやがて、自身のキャパシティを超えた責任、課題をこなさなければならない状況に追い込まれてしまいます。それは、物理的なものから心理社会的なものも含めた幅広い内容のものとなります。
「課題の分離」ではそれが
❝自身の課題❞
なのか
❝他者の課題❞
なのかをきちんと整理し、
❝他者の課題❞
とは決別することで、不適切な負荷を負うことなく
❝自身の課題❞
に集中できるようになることが重要となります。
まあ、理屈で言うより事例を挙げた方がわかりやすいと思いますので以下に挙げます。
*事例はフィクションです

頑張り屋さんD君の例

とある企業に勤める中堅サラリーマンのD君は最近、主任になったばかりです。D君は現在10人程のメンバーの指揮を執っています。このD君、とにかく頑張り屋さんで人から何か仕事を頼まれたら決してNOとは言わないことが部内でも評判でした。D君自身、それが❝自身の強み❞だと捉えており、どんなことでも快く全力で取り組んでいました。また、メンバーの仕事のフォローにも余念がなく、極端にいえば、メンバーの不備もD君自身が片付けていましたD君はミスを相手に指摘して気を悪くされるのを恐れていたのです。だから人知れず、自身で処理してしまうのです。
そんなD君なので、帰宅はいつも夜遅くなり、朝も始業2時間前から職場に入るというワークスタイルを採っていました。その影響なのか、D君の仕切っている職場全体もいつも大忙しでギリギリの状態でした。そして、ある日事件が起こります。D君の職場メンバーが2名、諸事情により退職してしまいました。これまでより2名少ない人員で業務をこなさなければならなくなり職場はパンク寸前。ところが、この状況下でもD君は他部署の応援業務を引き受けてしまい、結局本来の業務は納期遅れとなってしまいました。D君自身の個別業務にも大きく支障をきたし、上司からはこっぴどく叱責されるわ、職場メンバーからは苦言を呈されるわ、散々たる結末を迎えてしまったD君。あまりのショックで今まで続いてきたバイタリティは一気にドン底まで落ちこんでしまいました。おまけに体調まで崩してしまう始末。D君はすっかり途方にくれてしまいました。

D君の対応例その1

なかなか可哀想な事例ですね。ここではD君がこの状況をどうやって打破したかを解説していきます。D君はこれまでの自身のワークスタイルを振り返ってみました。まず、人からの頼み事を軽々しく受け入れることは慎重に判断しようと反省しました。他者の責任を引き受けて自身が身動き取れなくなるだけでも大変であるのに、さらに輪をかけて自身の責務が満足に果たせなければ本末転倒です。他者に全く協力しないのは望ましいとはいえませんし、相互に助け合うことはあらゆるコミュニティにおいて、とても大切にしたいことといえるでしょう。しかし、自身の仕事を進める上で明らかに支障がある場合にはきっぱりと断りを入れることも必要になります。正に自身の責任のみに注力することを重視する「課題の分離」ですね。

D君の対応例その2

メンバーのミスのフォローについては、これには2つ要素があります。
まず1つは相手のミスは誰の責任か、ということになります。もちろん、職場の長はD君ですが、ミスをしたのは相手になるので、その後処理は相手の責任になるといえるでしょう。ここで、D君は相手の責任まで請け負ってしまっていたのです。そして、もう1つは相手の顔色を伺ってミスを指摘できなかったところにあります。「課題の分離」では相手がミスを指摘されて機嫌を損ねるのは相手の問題と捉えます。そして、ミスを相手に指摘しなければならないことはD君の問題となります。以上をまとめると、このようになります。
ミスをした→相手の責任
ミスの後処理をする→相手の責務
ミスを指摘して後処理の指示をする→D君の責務
ミスを指摘されて機嫌が悪くなる→相手の問題
従いまして、この案件によるD君の責任はたったひとつ。結構スッキリしたイメージになります。しかも、これまで10名いるメンバーの8割程のミスを自身で処理してきたのですからその労力たるや、相当なものだったことでしょう。上記の通り、ミスを指摘されて機嫌が悪くなることは相手の問題だと割り切ることで、指示もスムーズに出せるようになったようです。

D君の対応例まとめ

本来自身がやらなくて良い仕事を過剰に受け入れたことにより招いた悲劇でしたが、上記2つの対応で解決したようです。ここではこれまで他者から仕事を振られていたのを改めて、逆に他者に仕事を振ることで状況を打破しています。責任感が強いことはとても素晴らしいことだと思いますし、このような人にはついつい頼ってしまう人もおられると思います。頼む側も頼まれる側も、その事情やお互いの状況をよく考慮した上でアクションを起こすことがひとつの気配りといえるでしょう。昨今、働き方改革がトレンドワードのひとつとなっていますが、この「課題の分離」といった考え方を用いた業務の見直しもまた、働き方改革の一環なのではないでしょうか。
また、このD君の事例は作り話とはいえ、組織の中である程度の責任を負うポジションについていれば大なり小なり似通った状況は起こり得るのではないかと思います。そういう意味でもラインによるケアといったメンタルヘルス対策はまだまだ伸びしろがあるといえるのではないでしょうか。

おまけ

メインテーマは以上になります。いや、それにしても梅雨明けて以来、暑さが続きますね💦おかげさまでビールが一層美味しくいただけるのですが、これだけ暑いとさすがに日中は具合が悪くなりそうです。そういえば、先日近くの川で水遊びしているのを見かけました。私はそれを橋の上から眺めながらささやかな夏の風情を感じました。蝉も絶えず鳴いています。トンボが飛んでいます。こんな小さなことにも今年は喜びを感じています。

それでは、今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました!

コメント

タイトルとURLをコピーしました